BOOMERのスクールウォーズ

『震災教育』

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
昨年末は大学業でのレポートと教師業の仕事に追われ、コラムを休ませて頂いておりました。ご心配して下さった皆様、ありがとうございました。ご安心下さい。先生は生きてます。

さて、一月になり新年を迎えたと同時に、今年もこの日がやってまいりました。そうです。1月17日。阪神大震災が起こった日です。早いもので今年で11年目を迎えました。6434人もの尊い命が奪われた忘れがたき1月17日。しかし兵庫県内の被災都市のうち今年も追悼行事を開くのは神戸市のみ、さらに民間追悼行事も昨年より約4割も減るなど、「震災の風化」が深刻に懸念されます。

僕の実家は山の中腹にあるので、家屋倒壊を免れ被害も比較的少ないほうでした。したがって他の被災地に比べて復旧は早いほうでしたが、それでも生活の不便さには困ったことを今でも鮮明に覚えています。水が出ないので小便は何回に一回だけ流したこと、大便をすると流す水がもったいないので限界まで我慢していたこと、「○○に水が出るらしい」と情報が入ると友達とポリバケツを持ってそこに並びに行ったこと、食料配給でもらったおにぎり一個を一食分として大事に食べたこと、家屋が半壊して避難してきた祖母とその近所に住む盲目のお婆さんと共同生活をしたこと、などなど。数え上げればキリがありません。悲惨な状況ではありましたが、不思議と争い事はなく、逆にそれまで話したことがなかったご近所さんと情報の提供をし合い、お互いを支え合って生きていたので、妙な一体感が住宅に溢れていました。

高校時代の友達には被害が深刻だった地域に住む人も少なくなく、いろんな震災体験を聞きました。特に印象に残っているのはほぼ全滅状態にあった長田区に住む友人A君の話。

A君の家は地震の轟音と共に全壊しましたが、不幸中の幸いで家族は全員無事でした。しかしながら周りを見回すと驚くほど悲惨な状態。A君は呆然と近所を歩いていました。すると前方に仲が良かった友達を発見。抱き合って喜んだそうです。しばしお互いの状況を話し、「他の仲良しグループのメンバーを探そう」ということになり、また近所を歩き始めました。

歩いていくとますます酷い光景を目の当たりにすることになり、ただただ不安が募っていくばかりだったそうですが、一人、また一人と友達を発見することができました。数時間もするとほとんどのメンバーと再会することができました。が、B君の姿だけそこにありません。不安を抱きながら友達B君の家があった場所に行くと、全壊した家屋を泣きながらかき分けているB君の両親の姿がありました。急いで駆け寄り事情を聞くと、「Bがまだこの中におるんや」と叫んで答えました。A君も友達と一緒にB君を探しました。しかしかき分けてもかき分けても一向にB君の姿は見つかりません。それから何時間探したでしょうか。

「おった!」

ようやくお父さんが崩れた家屋の隙間からB君を発見しました。A君達は喜び歓喜の声を上げましたが、すぐに絶望しました。

隙間から見えたのは生気を失った片腕のみ。こちらからの必死な呼びかけにも全く反応を示しません。隙間に手を伸ばして触ると冷たい。

B君は死んでいました。

「せめてこの中から出してやろう」
泣きながらA君達は瓦礫をかき分けました。辺りはもう夜。のはず。なのに何故か暑い。さらに明るい。頭を起こしてみると最悪な光景がそこにありました。なんと火の手が近くで上がっているのです。みんな急いでかき分けました。が、火の手はみるみるうちに近づき、わずか十数メートルのところまできていました。「もうええよ。みんなありがとう。早く逃げて。」と、B君の両親。A君達は泣く泣くその場から避難しました。B君の両親は家が燃え尽きるまでその場にいたそうです。

震災が奪ったものはあまりにも大きすぎました。B君と同じ境遇で亡くなった方も少なくないはずです。



あれから11年前。震災当時の面影を見つけることが困難なほど街は復興を遂げました。当時を知らずして育った子どもも、早い子で小学5年生。あと10年もすれば彼らがこの街を創っていく立場になります。当然彼らには街の歴史を知る必要があります。瓦礫の山と化し、ゼロの状態から創り上げてきたこの街の歴史を。その為にもたった11年で当時を風化しようとする現在の状況は何とかしていかねばなりません。6434人の犠牲者から得た「命の大切さ」、おにぎり一個を分け合った「助け合いの心」など、悲惨な状況から得た掛け替えのない教訓を胸に次世代に伝える義務が私達にはあります。当時を知らない子ども達は、そこからやさしさを学んでもらいたい。それがさらなる発展を遂げるこの街の原動力になるはずだから。


参考/Yahoo社会ニュース
URL: http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060117-00000022-san-soci


▲ Back to column index / コラムインデックスへ戻る

▲ Page Top

© MPJ...Soul,Jazz,Brasil...World Wide Music / MPJ online since 2000
© Whiteleek Entertainment