『プール』
皆さん、こんにちわ。
梅雨らしからぬ快晴続きの6月が終わり、いよいよ7月がやってきました。いよいよ夏到来ですね。夏と言えば、(海)(花火)(祭)などなど、イベント事が目白押しです。僕も花火でも見に行こうと予定を立てたいところなんですが、学校外で自立活動に関しての訓練合宿がありまして全く行けそうにありません。。。もぅ…学校でも夏ならではのイベント(?)が予定されております。そう、『プール』です。普通校なら体育教師以外は関係のないこのイベントですが、養護学校ではマンツーマンじゃないといけないので本来社会科教師である僕も参加しなければなりません。ということで今年も昨年に引き続き2回目のプール指導をすることになりました。嫌ではないのですが、プールは確実に体力を消耗するので、その後の授業での睡魔との格闘が嫌なのです。負ける自信が結構あります。また負けてしまうと介助面において危険を伴うことになるので、絶対に負けられないのです。昨年度はギリギリ耐えました。相当厳しく辛かった事を思い出します。今年はどうなることでしょうか??
では本題にいきましょう。
養護学校では基本的にマンツーマンで授業を行っています(最低でも一人で二人を介助)。 先ほども書きましたが、当然プールではマンツーマン介助となります。プール内で二人を抱きかかえながら入ると確実に危険ですからね。僕も一人の生徒A君にマンツーマンでつきます。その生徒A君は僕が担任をしているたった一人の生徒でもあるので、一応その生徒のことに関しては何でも知っているつもりです。ではまずそのA君の簡単な説明からいきましょうか。
A君は13歳。僕とこの養護学校の中では珍しく簡単な会話ならできる比較的知能の高い生徒。イタズラ好きで、いつも僕に他愛もないイタズラをしてくる可愛いヤツです。朝の会ではみんなの名前を言って出席確認の手伝いをしてくれたり、友達の車椅子を押してあげたりと、心の優しい男の子です。
そんな彼も、養護学校に通うくらいですから当然健常児にはない不自由な体質を抱えております。それは「色素性乾皮症」という数万人に一人という体質です。
日焼けをすると普通の人はあかくなって数日後に皮が剥けて終わりですが、「色素性乾皮症」の人の場合、短時間の日焼けでもすぐにヤケドのようになってしまい、またそれがなかなか治らず、シミやソバカスとして残ります。何度かの日焼けを繰り返すと普通の人の2000倍の確率でガン化するといわれています。この「色素性乾皮症」というのは体の細胞の遺伝子DNAが傷つけられた場合にその修復能力が低く、また修復時に正確に修復できずにDNAが突然変異(いわゆるガン化)してしまう先天性の体質です。いまのところ決定的な医学的治療法は見つかっていません。また身体的な機能も、満5歳をピークにして段々と衰えていきます。歩行・知能・言語などの機能はおろか、呼吸機能まで低下していき、そのほとんどが若年のうちに死亡してしまいます。
彼には3人の兄弟がいますが、遺伝子の問題もありその兄弟全員がこの「色素性乾皮症」の体質なのです。彼が小学校低学年の頃は一人で走り回っていろんな話を先生としていたそうなのですが、現在は独歩は困難なのでPCW(歩行器)を使って移動し、力のない小さな小さな言葉で端的にしか話すことができません。現在の彼の目標は現状をできる限り維持することと、言語以外のコミュニケーション手段(PC等)を確立することです。
上記にもありますが、彼は日焼けすることが死に直結しますので、校内の窓には紫外線カットフィルムを貼っています。それにより紫外線量も本来3000〜4000くらいのところを0〜20くらいまで押さえることが出来、校内でなら紫外線保護帽無しで移動することができます(彼の安全値は50未満)。ところが、うちの学校のプールはガラス張りで天井もプラスチックのために、いくら紫外線カットフィルムを貼っていたとしても60〜170くらいの紫外線量が漏れてきてしまいます。当然彼は安全の為にプールにはいることができません。彼が入学して6年弱経ちますが、一度も授業中にプールに入ったことが無く、いつもプール場の外に設置された小さな小さなプール(1メートル四方)にしか入ったことがありません。
彼も人間ですから、プールで楽しく授業をしている友達を見ると羨ましく思っているはずです。たかがプールではありますが、それに入れないということが与えるショックは計り知れない事と思います。また、海パンを忘れたり風邪を引いている等といった理由ではなく、生まれながらの体質によって入ることができないのです。辛いでしょうね。
そんな彼のプール指導に当たったのが僕。いかにして楽しませてやろうか、、、。最近そんなことばっかり考えています。
この間の学年打ち合わせで、夏休みの学年登校日を夕方5時からにしてみんなでプールに入ろう、という提案をしました。夕方なら日が落ちているので紫外線量もほとんどなく、A君もプールに入ることができると思ったからです。この提案に先輩教師達が賛同して下さり、内容がまとまり次第校長に願い出るところまで話が進みました。もしこれが実現したらA君嬉しいやろうなぁ、と思います。校長先生、よろしくお願いしますよ。
▲ Back to column index / コラムインデックスへ戻る