タナカリョウの穴あきブック

「チル」

11月。
季節はすっかりオウタムン。青々とした木々の緑も気付けば赤や黄へとチェンジ。そしてチル。どこか儚いイメージが付きまとうシーズンでございます。野球界からも数々の名選手が引退。なかでも「実家はヒノキ風呂」、阪神・片岡の引退はグッとくるものがございました。くしくも、かつて在籍していた日ハムは周知の大フィーバー。そのコントラストに栄枯衰勢の悲しい現実を感じずにはおれなかった今日この頃です。皆さん、上戸彩より、長澤まさみですよね!

目標を達成しての引退も美しいですが、志し半ばで第一線を退く潔さもまた等しく美しい。中田ヒデの電撃引退はその最たるもの。「その功績を讃える」と称して金の匂いをプンプンと撒き散らしていた川渕キャプテンが小さく見えるほどでしたね。さすがはヒデ、自らのブランド価値を高める方法を知っている。僕にとっては「松浦亜弥と本気で間違われてのストーカー被害からパニック症候群を引き起こして現場を去った紋舞らん」の引退くらいインパクトがありました。

人生50年。パッと咲いてパッと散る桜に自らの人生を照らし合わせる。そう、日本人は「散り際」にこだわる民族なのです。というわけで今回は「パッと散る」男の生き様を描いた作品をご紹介。ぷーん。


「北斗の拳」 作・武論尊 画・原哲夫 全27巻 集英社

言わずと知れたジャンプ黄金期の超名作。ストーリーの紹介は割愛致しますが、19XX年のクレイジーな舞台設定、次々と繰り広げられる超絶技もさることながら、一番の魅力は登場人物の「漢臭さ」。なかでも各キャラクターの死に際が感涙モノです。ラオウにサウザー、シュウにシン、トキ……。「俺は雲!」「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」「我が人生、一片の悔いなし!」うーん。パチスロでしか知らないそこのアナタ、文庫版も出ておりますので要チェックですよん。




「北の獅子 真説・土方歳三伝」 作・神田たけ志 全3巻 潮出版社

主人公は新撰組・土方歳三。かつての仲間たちと袂を分かち、自らの死に場所を探すべく奮闘する土方の覚悟が圧倒的な画力で描かれています。新撰組を題材にした作品は数あれど多くが京都期のものであることを考えると、本作はなかなかの異色。北海道に理想国家の建設を夢見る榎本武揚とのコントラストも秀逸です。幕府軍幹部でたった一人だけ戦死した彼の生き様、とくとご覧あーれー。







「ザ・コクピット」 作・松本零士 小学館ほか

マッキーとの小競り合いも記憶に新しい松本大先生。009やヤマトが有名ですが、「戦場まんがシリーズ」をはじめとする戦場系作品は、氏の魅力を語る上では絶対にハズせません。それらを集約した作品が本作。戦場に立つ無名の兵士たち、それぞれのドラマが読切構成で展開されています。なかでも人気の高かった、原子爆弾輸送の任務を命じられたドイツ軍パイロットの葛藤を描いた「成層圏気流」、桜花特別攻撃隊の友情を描いた「音速電撃隊」、フィリピンのオートバイ兵の戦いを描いた「鉄の竜騎兵」の3作は、OVA化もされました。全体を通して流れる、センチメンタルな空気がたまりません。愛蔵版や文庫など、様々な体裁で発行されていますのでぜひチェックを。ブックオフではたまに100円で売っていますよ。


というわけで、男は日々、死に場所を探して生きるべきなのです。などというと「かの太平洋戦争で無駄死にした兵の◎※*△■♪%!!」という抗議が某団体などからきそうな気配ですが、いやいやそれは哲学の問題。「死」と「引退」、本質的にはそう変わらないような気がするんですけどね。

「燃えて散るのが花」byチャゲアス。


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