タナカリョウの穴あきブック
「海」
7月です。
W杯も終盤に近づき、サッカー狂の体調は崩れるばかり。
梅雨の空気がさらに輪をかけ、早くも夏バテ気味な私でございます。
皆様、お体の具合はいかがでしょうか??
さて、いよいよ夏本番。
「海か、山か、プールか?」というスチャダラの名リリック、見直せば昨年も書いておりました。「まずは本屋」なタナカではございますが、深い山々に囲まれた奈良盆地出身の私としましては、海への憧れがやはり強い。郷愁ではなく憧憬。自宅の窓から釣りが出来る中川の実家なぞは羨ましい限りでございます。
波打ち際でのたうちまわるビキニ&ヘソピアスのギャル。獲物を狙うように鍛えぬいた肉体を誇示しながら闊歩するサーファー。はるか彼方まで続く水平線の湾曲、オゾン層の合間を縫って容赦なく降り注ぐ紫外線。ほほをすり抜ける海風が次第に陸風へと変わるころには人影もまばらに、しかし濃厚な空気へと変化……。壮大な海のイメージとは間逆とも言える極めて世俗的な夏のビーチ。そちらも決してキライではございませんが、やっぱり神秘的な青の世界が好きなんです! 砂には鳴いていてもらいたいんです! 誰もいない無人島で、ひたすら浮かんでいたいんですってば!
ということで、今回は「海」にまつわる作品をご紹介。DNAに響く名作ばかりです。
「海帰線」 作・今敏 全1巻 講談社

「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」のアカデミー賞ノミネートが記憶に新しい、今や日本アニメ界の重鎮である今(こん)敏氏のデビュー作。のどかな漁村の神社に伝わる「海人の卵」。言い伝えによれば、この海を守る人魚に、卵を守ることと引き換えに末永い豊漁を約束されたという。ところが23代めの神主が街のリゾート化に協力するため、これを見世物にしようと目論む……。神主の息子・洋介を通じて描かれる海の神秘、人間の愚かさ。こう書くとありがちな環境問題マンガかと思われがちですが、本作は構成力が段違い。大友克洋の影響をモロに感じさせる「白い」画風ではありますが、思わず引き込まれてしまうほどの躍動感にあふれています。ラストのサラッとした感じも好みですね。
「海のトリトン」 作・手塚治虫 秋田書店・講談社ほか

どちらかといえばアニメのイメージが強い本作。もともとは新聞に連載されていた漫画で、その時のタイトルは「青のトリトン」。アニメ化に伴い人気が再燃し、書籍タイトルもそれに倣うという珍しいタイプの作品です。人間界で育ったトリトン族のトリトンが、海を舞台にポセイドン族と戦う海洋冒険譚と言えばそれまでなんですが、随所に見て取れあある、トリトンと人間との微妙な関係がなかなか「デビルマン」的。しかも漫画では、スタート時の主人公は、海棲人類「トリトン族」の赤ん坊・トリトンを拾ってしまった漁村の少年、矢崎和也でした。彼は作者のシフトチェンジによりいつのまにか失踪させられ、トリトンが主人公に昇格したという離れワザが使われたんですね。また、手塚治虫はアニメのストーリーをあまり好んでいなかったようで、彼はわざわざ秋田書店版の帯に「アニメとは別物」というコメントを入れています。黎明期のアニメには珍しくなかった現象ですが、個人的には原作の方がディープだと思います。とはいえアニメも今なお熱狂的ファンの多い名作。比べて観賞するのをオススメします。
やはり海は壮大なストーリーが似合いますね。まさに地球上に存在する小宇宙。人類のロマン! とはいえ美しい背中に映える水着の日焼け跡にも、男のロマンがあったりするんですが。海って、ホントにイイなぁ〜!
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