タナカリョウの穴あきブック
第21回「笑う門には福来たる」
さて。
早いものでもう年末、2005年もあと僅かでございます。
皆様、今年1年お世話になりました。この場をお借りしまして御礼申し上げます。
今年を振り返ってみますと、なんといっても「お笑い」に尽きますね。昨年からの「エンタ」ブームが成熟してマーケットが格段に広がったように思います。ひと言で言うならば「タレント志向芸人の台頭」でしょうか。なかでも青木さやかや長井秀和、陣内友則など、ピン芸人の社会的地位が向上した一年だったと思います。カンニングやスピードワゴンも一気にメジャー進出。初期エンタメンバーでブレイクしなかったのはユリオカ超特Qぐらいかもしれません。カンニング竹山は結構好きなんですが、この理由はまた何かの機会に。彼はかなり頭がイイと思いますよ。きっと。
ゴールデン番組には必ず芸人が出演する現在のテレビ界ですが、どこか違和感があるように思います。いわゆる「ごっつ」メンバーなどとは質が違うような。芸の浪費とでもいいましょうか、どこか全員が一発屋オーラを放っているように思う次第です。そのグループの中に無理やり入れられている山崎邦正が不憫でなりません。持論でもある「お笑い=ヒップホップ説」に、またひとつ核心が持てましたね。
また、ウエンツをはじめとする、タレントのお笑い志向も進みました。「カッコイイのにおもしろい」タレント、「歌うまいしおもしろい」歌手が続々と出てきているように思います。そのハシリはTMさんや福山雅治な気がしますが、もっと遡ればシブがき隊もそんな雰囲気だったのでは。元祖は前川清ですけどね。そのあたりはさすがジャニーさん、関ジャニ∞のブレイクも完全に狙い撃ちです。今の小中学生が大人になる頃には、恋人対象のハードルが上がっている事は間違いありませんね。
そんな回顧録から無理やりマンガに結びつけるわけですが、今回は様々なギャグ漫画をご紹介。誰もが知ってるあの作品から、スーパーシュールな迷作まで。でんでん。
「行け!稲中卓球部」 作・古谷実 全13巻 ヤンマガKCスペシャル


前野・井沢・田中・田辺。強烈すぎる登場人物たちが五臓六腑を完膚なきまでに叩き潰してくれる、言わずとしれた王道作品。中学生ならではのチープな精神構造を取り入れつつ、随所に出てくるサブカルネタ。サンチェや岸本といった新キャラもハリウッド級です。古谷実のデビュー作にして最高傑作といっても過言ではないでしょう。作者は「ヒミズ」以降、精神論的な意匠に変化しつつありますが、この「稲中」にもそのカケラがあるような気がします。そういえば僕も、高校時代のクリスマス時期に「死ね死ね団」を結成したことがありました。「中学生日記」とならぶ青春マスターピース。どぅーん!
「えの素」 作・榎本俊二 全9巻 講談社モーニング


主人公は、サラリーマン前田郷介とその息子みちろう。ボイン! ペニー! うんこ!!! ポップな絵柄と強烈シモネタが絶妙なエノモト作品の集大成。作者の「GOLDEN LUCKY」を「静」とすれば、こちらは「激動」。全体のテンポを計算したコマ割り、ひとコマひとコマの完成度に、作者の才能を垣間見ることができます。幾度の休載から復活したのですが、200話を超えた一言で言えば、「くだらない」! これぞギャグマンガの原点。いい子は読んじゃイケないんです。かのキム大先生も絶賛しておられました。
「究極!変態仮面」 作・あんど慶周 全6巻 集英社


「ちまき」や「いなりずし」を食べるときにこの作品がチラつく20代男性も多いハズ。パンティをかぶるとヒーローに変身する主人公・狂介。「フォーーーー!」というセリフはレイザーラモンHGの元ネタと勝手に思っているんですが、どうなんでしょうか。「それはわたしのおいなりさんだ」この名セリフ、今思えばメチャ下劣ですがメチャメチャおもしろいっすね。作者はいわゆる一発屋ですが、安東慶周の名で赤塚賞の佳作に入選している実力派なんですね。その時の作品名は「飾りじゃないのよヘビメタは!」。うーむ。
シモネタばっかやん!
ということで、シメにはカップルで楽しめるオサレ系(?)作品を。
「鼻兎」 作・小林賢太郎 1〜4巻 続刊中 講談社アッパーズ


ラーメンズの小林氏による作品。「マサルさん」以降に定着した、『よく分からない生物がよく分からない行動で笑いをとる』手法を軽く用い、ジワジワとこみ上げる笑いを演出するも、基本的には「ぼのぼの」ライン。全体的に「シロい」絵柄が、脱力感を倍増させてくれます。別にラーメンズに通じる何かがあるわけでもなく、ファンだからといって読まなくてもイイかと。キャラそのものには「たれぱんだ」に通じる愛くるしさがあるので、女子ウケもいいのではないでしょうか。ぬいぐるみやTシャツなど関連グッズも豊富です。
笑う角には福来るとはよく言ったもので、笑うことは排泄と同じくらい大切な行為だと思います。「不景気を笑いで吹き飛ばせ!」みたいなフレーズはいささか強引ですが、日々笑いに囲まれている人は、他人を少し幸せにするオーラがあるような気がします。下ネタだろうがナンだろうが、「お笑い」は尊いものなのです。そういう意味で、文字通り100発100中のゴルゴ松本は天才!
それでは皆様、良いお年を〜!
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