タナカリョウの穴あきブック

第6回「クルー」

今回も感動を与えてくれたアテネオリンピック。選手の皆様、本当にお疲れ様でした。やっぱりスポーツ、最高! 特に野球日本代表の意地には感服。観ていて目頭が熱くなりました、ありがとうっっ!(ホリウチタカオ風)

スポーツには個人種目と団体種目があるわけですが、僕はどちらかといえば団体種目のほうが好きです。個々の力を合わせ、勝ち取った栄光。それは「一人で取った」メダルとはまた違った感情が湧き出るのではと思います。勝っても負けても、チームとしてその結果を受け止め、喜び、泣く。本当に涙腺に響く光景です。

個と個の集合、ましてや代表レベルともなると、力のバランス感が非常に難しい。ワンフォアオール、オールフォアワン。そんなスポーツ界に充満するクサ〜い思想こそ大事だったりするわけで。昨年のレアルマドリーを考えると分かりやすいかも。我が強すぎる個が集まると、その集団は力を発揮できません。さらには、一人でも手を抜いたりするとバランスが崩れる。アメフトなんかその最たるモノです。「チーム」という「公」のため、「個」を犠牲にする必要性も出てくる。そこに、「集団」でひとつの目標を達成することの美学がある、と僕は思います。あんまり「公」とか「個」という言葉を使ってこういうことを言うのも小林よしのり氏みたいなのですが。

「集団」の中の「個人」の責任。それは、個人でする場合よりも、他人に作用するという面でおのずと大きくなります。逆に言えば、個々がそれぞれの役割を果たし、キャラが「立っている」集団、それこそが理想の「クルー」と言えるのではないでしょうか。前置きが長くなりましたが、そういう意味も含めて、今回は、僕が思う「日本一のクルー」の著作をご紹介したいといます。



「ツノだせヤリだせ たけし軍団」 たけし軍団・著 太田出版

1986年の事件をご存知でしょうか。俗に言う「フライデー事件」。1986年12月9日、ビートたけし氏の女性問題に関する報道をめぐり、たけし氏以下12名で講談社フライデー編集部に殴りこみ。暴行・傷害で現行犯逮捕されたという事件です。懲役6ヶ月、執行猶予2年の判決。「風雲!たけし城」「おれたちひょうきん族」などの番組を抱え人気絶頂のさなかに起きたこの事件は、日本中を騒然とさせました。私も幼心になんとなくショックだったのを覚えています。

その前に出されていたのが本作。何ら事件とは関係ないのですが、そのまんま東やガダルカナル・タカ、ダンカン、大森うたえもん、井出らっきょ、松尾伴内、つまみ枝豆、柳ユーレイ、グレート義太夫……(略)などなど、個々のメンバーの軍団入りの経緯、笑いあり涙ありの「殿」とのエピソードなどが赤裸々に自伝的スタイルで描かれています。(多くはビートたけしを出待ちして弟子入りを懇願しているのですね)「ツーレロ」「ポプラ」「ゆたか荘」などなど、興味深いキーワード、気になる方は探してみてください! アイドルグラビア風の写真も満載ですよ!!

「殿」を心から崇拝。「殿」のためなら何でもできる。そんな個人があつまった、このようなピラミッド的組織は、一歩誤るとオウムのように屈折した道へと進んでしまう危険性をはらんでいるのは事実です。がしかし、たけし軍団の場合、「男」としての絆、任侠道、そんなアツイ心意気を感じざるを得ません。最も尊敬する人のために個を犠牲にして行動を起こす。その行為自体は、暴力という間違った選択ではありますが、むしろ共感できます。「フライデー事件」に加担したメンバー、おそらくは、みんな何の迷いもなかったのではないでしょうか。

「ビートたけし」「北野武」。2つの側面を併せ持つ一人のカリスマ。今は無き「ナンバ壱番館」にも出演していましたが、ホントにかっこいい。彼が示す方向こそが軍団のベクトル。誰一人例外なく、同じ方向を向いているからこそ、「たけし軍団」は美しい。僕は軍団入りする勇気こそありませんが、水島新司の息子が入団した気持ちもわかります。

音楽や映画など多彩な活動を展開する「たけし軍団」ですが、基本はあくまでも「笑い」。「カラダをはる」笑いがここまで定着したのも彼らの功績があるからこそ。「スーパージョッキー」の再開を心から願っております。



集団でこそ輝く個性もある。集団でしか勝ち取り得ない感動がある。



すべてをかけられるヒト・モノ・コト……。あなたにはありますか??


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