タナカリョウの穴あきブック

第3回「才能」
アテネオリンピックが近付いてきました。
頂点を極めるためにスポーツを行っている人にとって、オリンピックは最も華やかな舞台。
数々の困難な予選を通じて、新世代のスターたちが出現するのもこの頃。サッカーの平山、女子バレーの10代トリオなどなど、素晴らしい能力を持った選手達。彼等を見ていると「才能」というモノについて考えさせられます。

何か一つの物事を成し遂げようとする時に、それに対する向き不向き、センスの有無。悲しいかな全ての人が立てない舞台も現実にはあり、むしろ99%の人が挫折をしてしまうような世界もザラにあります。「才能がないから」という理由で妥協してしまうのは少し寂しいことですが、この御時世、自分の才能を信じて生きて行く事は、並み大抵な覚悟では苦しいっ。だからこそ、その才能が開花したと自他共に認められた人々は、アブノーマルともいえる至高の瞬間を味わうことが許されるのですね。

スポーツを、そんな現実社会の縮図として見ていると、勝ち負け一つの中に隠されたドラマに思わず目頭が熱くなることしばしば。今回御紹介するのは、そんな「才能」について考えさせてくれる作品。みんな一度は目にしたことがあるんちゃいます??ッて感じのこの作品です。レッツラドン。


「ピンポン」 松本大洋 全5巻 小学館

クドカン脚本、「おおあさ」フリーク窪塚くん主演、その他中村獅童や大倉孝二、ARATAなどインパクトあるキャストで実写版がブレイク。それに伴い、再度脚光を浴びた作品です。作者や内容に関しては周知の方も多いと思いますので割愛させていただきますが、僕がこの作品中で一番好きなキャラクター、それはアクマなんですね。はっきり言うと、「才能」がなかったキャラ。毎日毎日倒れるまで走り込んで、血が出るまで素振りして。有り余るほど行った「努力」を武器にした唯一のキャラ。

第3巻、アクマがスマイルに言ったセリフ。

「どうしてお前なんだよっ!?」

持つ者、持たざる者。求める者、求めなくても与えられた者。交錯する感情。泣けます、泣けます!

ストーリー全体としては才能崇拝主義にとどまらず、+アルファの努力、卓球を通じた友情という青春系スポーツコミックとしてもかなりの出来栄え。松本大洋作品の中でも最高峰との呼び声も高い名作です。未読の方はぜひ。映画のほうも、原作の良さを損なわずに仕上げられた素晴らしい仕上がりです。こちらもあわせてどうぞ。珍しく、どちらから観てもオッケーなタイプになっております。ちなみに僕が一番好きな作品は「花男」なんですが、こちらはまた別の機会に。さらに余談になりますが、彼のデビュー作「ストレート」、これがもう見つからなくて見つからなくて。ヤフオクでも全2冊セットで2万ぐらいになっとります。いつか僕がひと山あてたら、その御褒美として自分自身にプレゼントしよう、と思っているくらいロレックス的存在の本です。譲ってあげるという方がもしいらっしゃったら、ぜひ。

基本的にコンプレックスを前に出すタイプの人間が好きなんですね。

「スラムダンク」の花道然り、「バガボンド」の又八然り。
「ドラゴンボール」のクリリンもか??
めちゃくちゃ感情移入してしまいます。

誰もが持つ劣等感。
それはさらなる前進には不可欠な、素晴らしいエネルギー源なのかもしれませんね


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